頭痛(片頭痛、緊張性頭痛、群発頭痛)

当ペインクリニックが主に診療対象とする「頭痛、顔面の痛み」について説明します。

頭痛(片頭痛、緊張性頭痛、群発頭痛)

片頭痛

片頭痛はズキズキとした脈を打つような痛みが頭の片側にみられることが多いのですが、頭の両側で起きることもあります。女性に多く、頭痛の持続時間は数時間~3日程度と様々です。
片頭痛の原因ははっきりわかっていませんが、何らかの原因で拡張した脳の血管が神経を圧迫し、刺激を受けた神経から痛みを感じる物質(発痛物質)が分泌されることで起きるといわれています。
片頭痛には前兆を伴うタイプがあり、頭痛が起きる前に、目がちかちかする(閃輝暗点)などの症状が現れます。また光や音を不快に感じたり、吐き気や嘔吐など、日常生活に支障を来すような症状が出現します。片頭痛が起きるリスク要因として、緊張やストレス、疲労、睡眠不足、アルコール、チラミンを含む食品(ワイン、チーズ、チョコレートなど)の摂取があげられます。
治療は、軽度の頭痛であれば鎮痛剤や漢方薬などで対応できますが、症状が強い場合はトリプタン製剤を使用します。この薬は異常に拡張した血管を収縮し、神経の興奮を正常化することで効果を発揮します。また頻回に片頭痛を繰り返す場合は予防薬を日頃から内服することもあります。

緊張性頭痛

緊張性頭痛は頭痛の中で最も頻度が高いもので、頭全体もしくは後頭部に痛みや圧迫感などが生じます。ただし片頭痛のような吐き気や嘔気は伴いません。長時間のデスクワークやスマートフォンの使用、運転など、同じ姿勢を続けることで、首、肩、背中にかけての筋肉が緊張し、血流が悪くなることが原因です。またストレスなどの精神的な要因が関係していることもあります。
治療は日頃の生活習慣の改善やストレッチ、運動を行いながら、鎮痛剤、筋肉の緊張を緩める筋弛緩剤などの内服のほかに、筋膜リリースが有効な場合も多く、肩こりが改善するとともに頭痛も改善することをよく経験します。

群発頭痛

群発頭痛は片側、目の奥に、じっとしていられない程の強い痛みがでるのが特徴で、頭痛と同時に目の充血や流涙、鼻水などの自律神経症状もみられます。激痛は一度起こると15分~数時間続くことが多く、これが連日みられるようになります。この状態が数か月続く群発期と、その後何もなかったかのように頭痛がない緩解期が、半年から2年おきに繰り返されます。
治療は飲酒を控えることや、片頭痛と同じような内服薬を使用します。また頭痛が起きている時には高濃度酸素の吸引や難治症例ではステロイドを使用します。また、自律神経を整える星状神経節ブロックが有効な場合もあります。

三叉神経痛

三叉神経は顔の感覚を脳に伝える神経で、3つ(第1枝:眼神経、第2枝:上顎神経、第3枝:下顎神経)に枝分かれすることから三叉神経と呼ばれています。
ほとんどの場合は三叉神経が血管で圧迫され、神経が異常に興奮することで痛みが生じています(特発性三叉神経痛)。三叉神経痛の痛みは特徴的で、一瞬から長くても数十秒程度の発作的な激痛で、持続的な痛みが続く場合は、その他の原因が隠れていることもあります(帯状疱疹や脳腫瘍など)。歯磨き、洗顔、髭剃り、化粧、物を食べる際などに誘発されることが多く、ほとんどは詳細な問診から診断がつきますが、必要に応じてMRIを検討します。
治療は一般的な鎮痛剤は無効で、カルバマゼピンという神経の興奮を抑える薬を使用すると著効することが多いのですが、場合によっては漢方薬や神経痛の薬なども併用します。薬物療法が無効、もしくは副作用などで継続できない場合、年齢や症状に応じてγナイフや手術、三叉神経ブロックなどを検討します。